クエルダセカ技法のコースター
2008年 10月 26日
《デザイン提供:スペインタイル・アート工房》
いよいよ”通年コース”に通い始め、講義を受けて、色見本を作った後作った、通年コース初めての作品。色は自分で選んでのせてみました。
「クエルダ・セカ」という技法は、15世紀にイスラム諸国からスペインに伝わったといわれる伝統的な技法。トレーシングペーパーに写した図柄をカーボンでタイルに写し、さらに図柄を鉛筆でなぞった後、スポイトで釉薬を流していきます。
鉛筆の中の油分が釉薬の水分をはじき、色が混ざり合うことなく図柄を描ける仕組みです。ただし、スポイトの扱いは難しく、隣の色と混ざってしまうこともしばしば・・・。スポイトを往復させると滑らかな表面にならないので一方通行に引っ張るように水分を流していく・・・のが基本、です。
釉薬の量は、薄すぎても厚すぎてもNG。薄すぎるとタイルの地が透けて見えてしまったり、厚すぎると焼いたとき流れてしまったり・・・・。
↑これらが、焼成前の状態です。粉を水で溶いた釉薬の水分は、あっという間にタイルに吸収されてしまうので、マヨリカ技法と同じく粉っぽい質感。写真がいまいちですが、焼く前と焼いた後の色の違いが分かるでしょうか?
焼成すると、鉛筆の鉛焼けて消えてしまうので、出来上がりはタイルピースを張り合わせたモザイクのように見えます。
スペイン・グラナダのアルハンブラ宮殿や、ポルトガル・シントラの王宮やペナ宮などは、このクエルダセカの宝庫。何時間でも、うっとりと見続けたいほど素敵です。
ある本によると、イスラムの人々は、もともとタイルのかけらを張り合わせて規則的なモザイク装飾をしていたのですが、このクエルダセカ技法が発見されてからは、モザイクを張り合わせる手間が省けるようになったので、その後の多くの建築物に多用されるようになったのだ・・・とか。
今の技法でタイルを作るのも、十分手間な作業ですけどね・・・・(笑)
ちなみに、クエルダ・セカ=スペイン語で”乾いた縄”という意味。昔は鉛筆の代わりに乾いた縄を使って釉薬を仕切っていたことからこの名前が付いたのだそうです。
by conlemani
| 2008-10-26 01:22
| スペインタイル・アート工房作品